指輪 17

 古井豆奴様から電話がきた。
「あのな、いろいろ考えたんどすけど、やっぱりルビーはやめとこうおもいますのや。ほら、ルビーの指輪やらいう歌が流行りだしたやおへんか。あれききましたら、なんや縁起わるい気がしますやんか。そんで、ほら、最初に迷ったおっきいパール、あれがいいのとちがいますやろか? 」
 豆奴様は、一気にまくしたてた。
「それに、お母さんがな、あんた、豆奴、おっきいルビーやったら、ひとがな、梅干し飴みたいにいわはるで、と心配してはるんどす。そういわれたら、うちもなんかいややし。パールの指輪にしてくれはるよう、どうかおたの申しますう」
 で、豆奴様の指輪の件は、これにて一件落着。