彫刻 7

 I先生に、お弟子さんはいらっしゃるのですか、とたずねた。
「弟子は持ちません。必要なときは、大学院の学生に手伝わせています、助手として」
 I先生は、眼は笑わずに、笑って答えた。
「先生の跡継ぎは、いらっしゃらないのですか?」
「いません。息子はデザインのほうだし」
「先生の技というか、技術が伝わらないのはもったいなくありませんか」
「うん、まあ」
「でも、そういう助手がいれば、手伝っているうちに自然に先生の技を習得できますね」
「ええ。なかには優秀な学生がいて、教えなくても技を覚えそうになります」
「やはり、そうでしょうね」
「だから、そういうときは、すぐに交替させるのですよ、別の学生と」