銀座百点 15

「銀座百点」No.1(復刻版)の広告ページのひとつに、「スエヒロ」がある。
「あらゆる御會食にどうぞ」と書かれた下に扇型のマスがあって、メニューの一部があげてある。


一、洋室(ピアノ備付) 二〇〇名様
      〃    (一般食堂) 大小
一、和室(舞台付広間) 二〇〇名様
      〃    他
一、御會食の御費用お好み
一、すき焼 三〇〇円より
一、ビフテキ定食 六五〇円より
一、一般定食 三〇〇円より
一、ランチ 一〇〇円より
一、カレーライス 五〇円より
其他お好みでいか様な
調理も御用を承ります

 
 そうして、扇の要に近いところに店名が、「ビフテキのスエヒロ」と紺地に白抜きのゴチック風描き文字で描かれており、その下に「ぎんざ松坂屋裏」「TEL (57)9271-5」とアクセスが添えられている。
 日本の「昭和30年」がよくわかる。シンプルで率直で飾りがなかった。戦争が終わって、まだ10年しか経っていなかったのだ。
 そういえば、ビフテキという言葉も、あまりきかなくなった。