号外

 きょうは、ぼくの誕生日だ。むかしは十歳サバ読めたが、昨今は齢相応か、ときには年上に見られるようになった。しかし、いつまでも二十七歳でいられるわけもないが、気分としてはいまだにそのあたりを漂っている。


 俳句のお仲間から、誕生祝いのご挨拶句をいただいた。みなさん、お優しいのだ。


   飛行船秋の大空独りじめ 尚


   秋茜ほろと酔ひたる飛行船 わさび


   優しさに知性を包み冬帽子 丹空


   秋麗進むともなく飛行船 柚


 小生、飛行船は、それぞれの句を机に並べ、有難く、深く頭をたれる。そして、こんなとき、昭和の男は、うれしくて、泣くのである。