綴じ込みページ 猫-134

 バーントパインとバーガンディにもヴィンテージスチールを付けてもらった。そして、それぞれに合う靴クリームの色を相談した。


 某エドワードグリーン販売店に、黒の靴クリームをのせたバーガンディの靴が置いてあるそうで、それがたいそういい色合いだというのを聞いたので、質問してみた。答えはすぐ返ってきた。
「バーガンディに黒のクリームを塗るひともいるようですけど、あれってムラになりますよ」
 ぼくは、すぐ却下した。


 バーガンディには、バーガンディという色の靴クリームがあった。バーントパインのほうは、ライトブラウンをすすめられた。ぼくは、はいはい、といってそれをもらってきた。専門家に弱い性格で困る。


 ミーヤは、なんでも手で払う癖があるので、ぼくの靴は見せてあげない。あんな爪で引っかけられたら、ひとたまりもない。
 

 猫はみんなそうかわからないが、右手は左に、左手は右に払う。だから、壁から顔を出したミーヤにボールを転がすと、右手で払って、ちょうど手で打ったような具合にボールがはじかれてくる。もう一度転がしてやると、また手ではじきかえす。何回か繰返すうちに、こんどは左手で払った。当然、ボールは向こうのほうへ転がってゆく。ピッチャーは、たちまち球拾いに格下げである。