綴じ込みページ 猫-155
白石正人句集「わかめご飯の素」(「春 spring」)を読んでわかることは、いて丁さんとぼくの感性が違っていることだ。しかし、まるっきり違っているわけでもなくて、かえって始末に困る、とおもった。
「夏 summer」
パセリパセリ刻んで刻んで五月来る
挨拶のハグは短く花海芋
アイリスや傾げて曲がるオートバイ
年金の振込まれし日苺買ふ
夜濯やパンツ靴下吊ズボン
嘱託の身分と云へど更衣
佳き人は夢で逢ふひと明易し
明易やコンビニまでの女下駄
居酒屋の背中合わせの団扇かな
地下鉄はレモンイエロー夏祭
みこし胝匿せぬほどや初松魚
文化鍋文化包丁瓜冷す
夏帽子牧人のごと吟行す
夏蝶のぎらりアインシュタイン塔
捩花や右から開く對數表
(つづく)