綴じ込みページ 猫-156
白石正人句集「わかめご飯の素」(「夏 summer」)のつづき。
杜鵑鳴いて樹雨の落ちにけり
サムシング・グレート万緑に在り
海岸通りバーガー店の金魚草
夏の月大胆なことやりさうな
今日からはただの友達ビール注ぐ
臍凉し表彰台のアスリート
河鹿鳴く私は何も望まない
兜虫歩む濃度を確かめつ
蟻もまた一本橋を渡りけり
早足の喪服の二人濃紫陽花
急坂のはじめ泰山木の花
三伏の下れば上る蛙坂
藻の花やめだか居るかと尋ねられ
鹿よけの柵かなしめや青田道
竹皮を脱いで素直になれぬ日も
炎天やバナナ落としてなるものか
まじまじと見られ見かへす日焼かな
風死なば我も死すべし蝉時雨
隧道の果ての白さや鴨足草
蒲小蒲姫蒲身丈超えゆけり
青柿の落ちてありけり雨曇
少年の水鉄砲の的決まる
(つづく)