綴じ込みページ 猫-165

 猫の額ほどの庭の草むしりをする。


 草をむしりながら、先日のそろり会(句会)のことを思い返した。そして、ひとりでくすりと笑ってしまった。


    食卓に猫と葡萄とパリ日記  飛行船


 ぼくが提出した句である。兼題は、「葡萄」。
 あまり先生は、評をしてくださったあとで、この句はとっておきなさい、とおっしゃった。そして、それから次の句に移ったまではよかったが、詠まれた次のだれかの句の下五にわざと「パリ日記」とくっつけて読みあげて、ご自分で吹き出された。
「パリ日記は、根岸の里の侘び住まいといっしょで、なんにでもくっつくわね」