綴じ込みページ 猫-204

 ぼくは、昭和五十二年にカミサンと出会った。そして、その年、カミサンの姪が大阪の高石市羽衣で生まれた。すべて、偶然である。姪は、長じて銀行員になり、そこそこキャリアとなって、いまだ独身である。会社はおっさんばかりで、恋愛対象なんていてへん、というのが彼女の挨拶だが、ぼくにとっては至極便利である。


「トモちゃん、いくつになった?」
「ことし、三十八」
「ふーん」
「お祝いしてくれんの?」


 いやいや、トモちゃんの齢をきいて、六を引くと、ぼくとカミサンが結婚してから何年経ったか、即わかるんよ。