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 社報の「開眼 なんでも書評欄」には、「村上ラヂオ2」のすぐ下にあった秋元康の「スーパー・ビジネスマン講座」をとりあげることにした。


秋元康のスーパー・ビジネスマン講座」(1996年・PHP研究所刊)は、新書版230ページ、ハウツーもののビジネス書のかたちをした秋元康のエッセイ集である。この本で秋元康は、自分の方法論と成功の秘訣をあますところなく語っている。
 講座だから、目次をみると、章立てが学校の授業になぞらえてある。まえがきが〈ホームルーム〉。ここで秋元は、「スーパー・ビジネスマンを目指すということは、まずは、自分のなかのスーパー・ビジネスマンを見つけること、なのである。」と、この本を読むための心構えを述べている。そして、〈第1時限〉から〈第8時限〉までの8章で、自分の経験をもとにして、懇切丁寧に、スーパー・ビジネスマンへの道を熱く説いているのである。
 ところで、この本を読んで、実際に起業してしまった軽率な男がいる。私だ。あとがきの〈課外授業〉で、「よくいわれることだが、『使われるな、使え』ということである。」とアジられて、当時、昔の顧客の熱烈な要望に応えるべきかどうか悩んでいた私は、突如、やっちゃえ、と叫んで安定したサラリーマンから明日をもしれぬ個人事業家に転進したのであった。おかげで、その後の10年間で天国と地獄を味わった。しかし、いちど地獄をみてしまうと、その状態以外はすべて天国だということがはっきりする。いま、スーパー・ハッピーです。