綴じ込みページ 猫-249

 句会のお仲間から京都旅行のお土産をいただいた。和綴じの小ぶりの俳句帖である。しばらく机に置いて眺めていたが、やはり拝受した折の自分の気持に従うことにした。すなわち、拙作の句で小さな句集を編もうとおもったのである。ずっとそのつもりでいながら、ぼくはいつも切羽詰まらないと始まらないから、たまたま有志の集まりが急に翌日に決まったのを、「奇貨居くべし」と重い腰を上げることにした。

 
 丹念にページ数をかぞえなおして(ぼくはよく間違えるからね)、三十五句収録できることがわかった。もちろん、贅沢に一ページ一句とする。それから、これまで詠んだ猫句をひっぱりだしてきて、きっちり三十五句を選んだ。ミーヤは、その間、あの手この手で作業の邪魔をしてくれた。ぼくは、ミーヤがなにをしても絶対叱らないものだから(猫に説明してもわからないからね)、ダメよ、といっても聞いてくれないのである(これは人間の女性もいっしょかな)。彼女が飽きて、無関心になるまで、じっと待たなくてはならない。


 迷いながら、ようやく三十五句選びおえた。春夏秋冬と新年で、それぞれ七句ずつ選べばいい勘定である。しかし、いったん選んでから、バランスを考えて、新年を五句として冬の間に置いたり、シメに新年の分で浮いた二句を春の句からもってきたり(だから春だけ九句になった)、と時間がない割には楽しんでいた。このあと、一ページに一句ずつ、手書きしなくてはいけないのに、である。
(つづく)