大木あまり詩画集「風を聴く木」『1-青ざめた夏』

 青ざめた夏


それぞれの夏がやってきた。
二六歳と
二四歳と一九歳の夏が。


この夏も わたしたちは
悪夢を見るのだろうか。
世界の片隅に


呪われた血で
繋がれている 迷い子。
空に置きざりにされた
昼月のように
もろく危うい
迷い子たち。


青ざめた夏の
一本の木に
それぞれの
青春を封じこめる。