2016-11-27 大木あまり詩画集「風を聴く木」『1-稲村ヶ崎』 稲村ヶ崎 レインコートがふんわり 空から降ってきた。 田村隆一のレインコートだ。 黄金の酒の匂いがするもの。 つまんでみると 諧謔と疲労で よれよれになった 詩神が レインコートの中で 気絶していた。 ああ、詩神よ 酒神と結ばれてはいけませんよ。 熟れた果実となって 太陽が海に沈んでゆく。 レインコートは 空に帰ってゆく。 大きなとんびとなって。