大木あまり詩画集「風を聴く木」『2-流星』

 流星


渚に打ちあげられた
荒布が濡れている。  (註:あらめ)


愛しあった あとのように
流木は男の匂い。
貝殻は女の匂い。
流星は死人の匂い。


男と女。
生と死。


波に打たれても
溺れることのない浮標。  (註:ぶい)


愛に溺れることのない心。
交わることのない
空と海。


    原註・荒布(あらめ)・・・海藻のこと。黒菜とも言う。