大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P40

 さくら咲く氷のひかり引き継ぎて


 桜の咲く頃は、暖かくなったと思うと急に寒さがもどって冷えこむことがある。それが花冷えである。花冷えという響きから氷を想像してしまうのは私だけだろうか? 光り輝く白い桜を眺めていると、この光はきっと氷のひかりを受け継いでいるのだと感じることがある。いきもの総てに受け継ぐものがあり、同等に生きていく権利がある。それが、困難な時代になってしまった。 (『火のいろに』)