大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P52

 三人の晩餐蜘蛛に見られけり


「この句は、具体的には、あまりと夫、当時同居していたあまりの母という三人の夕餉に想を得たものと思われる。が、『見られけり』と感受した瞬間、日常的光景が非日常の色彩を帯びた。……三人のかすかに緊張した関係も窺われるのは、蜘蛛に見られるという独特の視点の設定によるものであろう」とは、山西雅子さんの評。このように、表現者としての幸せは、自分の句が優れた評者に出会い輝くことだ。 (『火のいろに』)