大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P76

 ぼろ市や空一枚を使ひけり


 東京世田谷のぼろ市を吟行したときの作。第二句集『火のいろに』を上梓することが決まり、頻繁に吟行をした。無所属で俳句をやっている私を心配した石田勝彦先生がたびたび吟行に誘って下さった。
 このときも、先生のお伴をして古着、古物、農具などの店を見て句作した。街を見渡すと同じような店が街の外れまで続いている。ぼろ市って、空を上手に使う青空市なのだと改めて思った。 (『火のいろに』)