大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P118

 終戦の日のかもめらに腋力


 煌めく海の上を飛翔する鷗、海面や波間に漂う鷗を眺めていると、すごい腋力! と思う。両腕がなくても翼と強い腋の力があれば、懸垂をやらせても鷗は上手だろうし、平行棒や鉄棒など体操選手顔負けの演技をするにちがいない。顔つきも雄々しく信頼できそうだ。私には終戦記念日を深く詠む力量はないが、鳩が平和の象徴にように鷗もそうであって欲しい。この世から戦争やテロがなくなるように鷗に冀望(きぼう)を託して詠んだ。 (『火球』)