大木あまり「シリーズ自句自解1 べすと100」P126

 わが柩春の真竹で作るべし


「一生が短いか長いかはその人によるけれど、人間が一番輝くのは死んだとき」と母は言った。ならば、最後を輝かせるために自分の美意識に適う青い竹の柩を作りたい、そう思った。それも生きているうちに西行の忌日に合わせて竹で編んだ柩を。今でもその想いは変わっていない。私は夏の夜に死ぬだろうから、竹の柩の外や中に夕顔を巻きつけて欲しい。遺言は、甥で詩人の宮田浩介に託そう。彼はきっと諒解してくれるだろう。 (『火球』)