大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P138

 春の波みて献立のきまりけり


 無性に海が見たくなると横浜に行き水上バスに乗る。船に乗ったときの爽快な気分と開放感がたまらない。きっと日常から非日常の世界に連れて行ってくれるからだろう。のんびりと波と戯れる鷗。沖に碇泊する白い巨船。この句は、船のデッキで作った。夕波を眺めながら非日常から日常にもどった瞬間。夕食のメニューは鰺の南蛮漬とポトフーと菜の花の芥子和えにしようと思った。 (『火球』)