大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P148

 火のなかのものよく見えてちちろ虫


 晩秋になると毎年、焚火をしながら、飽きることなく掲句のような句を作ってきた。
 今日は今年初めての焚火。段々に火が透明になってくるとなかの小枝や落葉の燃えるさまがよく見える。こんな美しい炎で自分の柩を焼いて欲しいと思う。でも炎の熱さに刺激され生き返ったら恥ずかしい。死ぬのは怖くないけれど熱いのは苦手。いくらマンガチックな私でも、一生を締め括る最後くらい荘厳な儀式でありたい。 (『火球』)