大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P154

  ひとりして萩のうねりをたのしめる


 子供の頃から、ひとりが好きである。人間や動物や植物も好きだし、幸せなことに良い友達も沢山いる。もしかして、ひとりが好きなのではなく我儘で自分勝手なだけなのかもしれない。この句、ひとりで吟行したとき、白い萩を見て作った。風にうねる萩のしなやかさと優美さを堪能し、じっくりと自分と向き合った。久しぶりに満ち足りた一日を過ごした。
 そして、私はまだ本当の孤独というものを知らないと痛感した。 (『星涼』)