大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P174

 刺草の根を張る母の日なりけり


 母の日は、母の愛に感謝を捧げる日なので、母そのものを詠んだ句を多く見かける。そこで、少し観点を変えて詠んだのが揚句。刺草は茎葉の細かい棘に触れるととても痛い。葉や茎を守るためだ。その半面、若芽は柔らかくて美味。茎の繊維は糸や織物になる。この守るイメージと多様性こそ、母に通じるものがある。「刺草の根を張る」で辛抱強い母のあり方を普遍的に表したかった。 (『星涼』)