大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P176

 足のつることもありなむ水馬


 水面を敏捷に滑走したり跳ねたりする水馬を眺めていて、その涼やかさを表出したくて〈水馬すいつと水にあるひかり〉という句を作ったことがある。この「すいつと」が水馬の特徴。だが、水で生きる水馬にとって長い六本の足を巧みに使うって大変。たまに足がつれることもあるのでは? という発想から生まれたのが揚句。この水馬、水に映る自分の姿にうっとり。かなりのナルシスト。 (『清涼』) 註:水馬(すいば)は、あめんぼ。