大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P182

 膝ついて露けきものに栗の毬


 栗好きの下の姉が朝露に濡れながら栗の実を拾っている。優雅に地に膝をついて……。なかなか絵になる風景だ。突然、「あっ!」と姉が叫んだ。栗の毬に触ったらしい。そして、「栗の毬のように毅然と生きなければね」と呟いた。さすが、俳号を「毬丸(いがまる)」と称する姉らしい言い様だ。この毬丸、「あまりは、俳句はまあまあだけれど、文章はすっごーく下手よね!!」。エレガントに、地雷を踏むのである。 (『清涼』)