大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P186

 猫のこのふにやふにやにしてよく走る


 ある寒い夜、農家の納戸に子猫がいると友人から電話があった。見に行くと、痩せ細った母猫と二匹の子猫が一塊になって藁の上で眠っていた。子猫の離乳期のあと、母猫に避妊手術をさせ、三匹を保護した。何度か逃亡したあと猫たちは現在、我が家の地下に棲みついている。私の悩みは、雄猫のレインが妹猫の花に恋をして追い回すことである。 (『星涼』)